今日の疲れは今日のうちにとろう
春は、体がなんとなくだるかったり、疲れを感じたりする季節でもあります。
なにもケアしないで疲れを翌日に持ち越したのでは元気な明日は迎えられません。仕事中の疲れ回復法、帰宅してからのリラックス法をタイプ別にお届けします。
- Type01:足が疲れた
- Type02:頭が疲れた
- Type03:肩が疲れた
- Type04:心が疲れた
- Type05:腰が疲れた
- Type06:全身が疲れた
- Type07:肌が疲れた
- Type08:目が疲れた
Type01:足が疲れた
筋肉の血行を促し、クエン酸で筋肉疲労を早めに分解。
一日中、デスクワークをしている方に多い症状が「足のだるさ」です。なかには「足がだるくて眠れない」と訴える方もいるほど。これは、筋肉の静的疲労が原因だといわれています。
筋肉疲労には動的疲労と静的疲労の二種類があります。静的疲労というのは、劇場でずっと椅子にすわっていたり、正座をしたときなどに感じる疲労のことで、居心地が悪くなってもじもじと身体を動かしたくなってきます。これは、足の筋肉が「早く圧迫を解いて!姿勢を変えて!」と信号を送っているのです。つまり、筋肉が緊張して毛細血管が圧迫され、血液の循環が悪くなっているわけです。
血液の循環が悪くなると、筋肉に酸素が不足して乳酸という疲労物質がたまってきます。これが「だるい、むずがゆい」という不快感となって現れるわけです。山道をたくさん歩いたり、ジョギングやテニスなどで身体を動かした後に感じる動的疲労の場合も同様で、乳酸がたまってきて、それが「疲れや痛み」として感じられるのです。
ということは、この乳酸を早く分解してやるようにすれば、足の疲れを翌日まで持ち越さないで済むことになります。そのために有効な方法は、ぬるめのお湯にゆっくりと入って血行をよくすること、足をぶらぶらさせるなど筋肉をゆるめるような運動をすること、そして乳酸の分解を早める作用のあるクエン酸を補給することなどです。クエン酸は主に炭水化物を分解する過程で合成されますが、梅干しや酢にはもともとクエン酸が多量に含まれていますので、身体に入るとすぐに効果を発揮し始めます。動脈硬化の予防にも効果がありますので、一石二鳥です。
足の疲れをとるツボ指圧
ツボは、身体の左右両側面にありますから、必ず両側の指圧を行います。押す強さは、「痛いが、気持ちいい」という程度。つぼ指圧を行ったあとは、足を高くして寝るといっそう効果的です。
Type02:頭が疲れた
自然の音、香り、糖分、お風呂で脳の疲れをいやす。
3+7、6+9などといった簡単な足し算を1分間続けるという作業を、時間をおいて繰り返し繰り返し行っていくと、時間が経つにつれてだんだんできる量が減ってきます。算数の得意不得意に関係なく、誰にでも起きる現象です。
これは、脳の神経細胞の疲労が原因であるといわれています。脳が疲労すると、頭が重くなって思考能力や判断力、記憶力などが落ちてきて、注意力も散漫になってきます。このような状態では仕事の能率も上がりませんし、車の運転中であれば、周囲への注意力が落ちて危険です。
脳が疲れてくると、気力がなくなってきたり、子供の声や金属の触れあう音などが強く頭に響くようになることもあります。いずれにしても、あまり愉快な状態とはいえません。
脳の疲れをいやすには、せせらぎや鳥の声といった自然の音が効果的であるといわれています。脳から出されるα波を増やしてリラックスさせ、疲れを回復させます。また、ラベンダーやローズなどの香りには脳の神経を穏やかにさせる作用が、キャンディーなどの甘いものには脳の栄養となる作用があります。
誰にでも、手軽に脳をリラックスさせることができるのが入浴です。適温は38℃以下の超ぬるま湯。お湯とはいえないほどのぬるさですが、これぐらいのお湯に入ると、副交感神経を刺して脳が鎮静化していきます。
●高温浴(42℃以上)
熱いお湯が好きな日本人にとっては、「ちょうどいい」と感じる温度かもしれませんが、脳の疲れを回復させて穏やかな状態にするためには向きません。朝など、身体や脳をしゃんと目覚めさせたいというときにふさわしい温度帯です。
●温浴(39~41℃)
「ちょっとぬるめかな」と感じるのがこの温度帯。血圧を急上昇させることのないこの温度帯は、一般的な健康には最もふさわしいものです。でも、脳の疲れをとるためには、まだちょっと高め。
●低温浴(38℃以下)
「これは水だ!」と叫ぶ方がいるかもしれません。それほど低く感じるぬるま湯です。でも、自律神経の副交感神経を鎮静化させるためには、この温度帯がいちばん適切。頭が興奮して寝つけないようなときにも、低温浴をお試しください。
Type03:肩が疲れた
仕事中なら肩回し体操、帰宅したならシャワーで刺激。
何かに熱中することを「こる」といいます。また、熱中しやすい人のことを「こり性」といいます。肩こりもまた、何かに熱中したときに起こりやすい筋肉の静的疲労です。
じっと同じ姿勢で仕事をしていたり、前かがみの姿勢を続けたりすると、肩の周囲の筋肉が血行不良になり、緊張してきます。やがて、筋肉に疲労物質や痛みを起こす物質がたまり始め、その刺激が脳に伝わってさらに筋肉を緊張させて、こりや痛みとが起きる……というのが、肩こりのメカニズム。どこかで原因を断ち切らないかぎり、肩こりはひどくなる一方ということになりかねません。
それでは、その解消法はというと、仕事中ならば、肩を回すなどの簡単な体操をするのがいちばん手軽な方法です。よく、首を回す人がいますが、頚椎の老化を促進して肩こりの原因になることもありますので、やめたほうが無難でしょう。
家に帰ったら、お風呂に首までゆっくりとつかったり、シャワーのお湯を肩にかけたり、ひどい場合は水とお湯を交互にかけたりすると血行が促されて筋肉のこりがしだいにほぐれていきます。マッサージや肩たたきも効果がありますが、あまり強くやりすぎるとかえって悪化させることもあります。
Type04:心が疲れた
ストレスで消費されるビタミンCとたんぱく質を補給。
嫁や姑、隣人、同僚などとの人間関係がスムーズにいかないと、どこが疲れたというわけでもないのに脱力感にも似た疲れを感じることがあります。これは「ストレス」「気疲れ」という言葉で表現されることが多いのですが、心の疲労というより、一種の脳の疲労であるといわれています。
人間の脳は、本能や情緒をつかさどる“古い皮質”が、知性や理性をつかさどる“新しい皮質”によって抑制されています。動物たちは不快感を感じると怒りの感情をストレートに表現しますが、人間は“新しい皮質”のおかげで感情をコントロールすることができます。この両者のバランスがうまくとれている間は問題はないのですが、“古い皮質”の働きを理性や知性で抑え続けていると、自律神経失調症や、高血圧や動脈硬化などの成人病の原因になることもあります。
人間関係に限らず、現代人はとかくストレスに悩まされがちなものです。喜怒哀楽はもちろんのこと、環境の変化、境遇の変化など、あらゆることがストレスとして働きます。
【社会的ストレス尺度】
ランク | 生活の変化 | ランク | 生活の変化 |
---|---|---|---|
1 | 配偶者の死 | 21 | 抵当流れ |
2 | 離婚 | 22 | 昇格または降格 |
3 | 夫婦の別居 | 23 | 子供の自立 |
4 | 拘禁 | 24 | 姑等とのトラブル |
5 | 家族の死 | 25 | 個人的な成功 |
6 | 負傷または病気 | 26 | 妻の就職または退職 |
7 | 結婚 | 27 | 進学または卒業 |
8 | 失業 | 28 | 生活状態の変化 |
9 | 夫婦の和解 | 29 | 生活習慣の変更 |
10 | 退職 | 30 | 上司とのトラブル |
11 | 家族の病気 | 31 | 勤務の時間や条件変更 |
12 | 妊娠 | 32 | 引越し |
13 | 性的障害 | 33 | 学校生活の変化 |
14 | 家族の増 | 34 | レクリエーションの変化 |
15 | 勤務先の変化 | 35 | 宗教活動の変化 |
16 | 経済上の変化 | 36 | 交際上の変化 |
17 | 親友の死 | 37 | 五百万円以下の借金 |
18 | 転勤・配転 | 38 | 睡眠リズムの変化 |
19 | 夫婦喧嘩 | 39 | 家族の団らん回数の変化 |
20 | 五百万円以上のローン | 40 | 食習慣の変化 |
こうした生活の中で、心と身体の健康を保つためには、十分な睡眠と栄養をとり、適量のお酒やカラオケなど自分に合った楽しみ方で、たまには羽目をはずして“古い皮質”を解放してやることも大切だといいます。栄養的な面では、ストレス刺激によって全身的な代謝機能が高まり、それに伴ってビタミンCがどんどん消費されていきます。また、体内のたんぱく質を分解する作用も高くなっていきますので、この2つの栄養素はストレスの多い現代人には不可欠。3食の食事の中で、過不足のないようにとるように心がけてください。
また、ストレスは胃にも悪影響を与えますが、その対処法は「自分でできるヘルスケア・胃の不快感」をご参照ください。
Type05:腰が疲れた
ストレスで消費されるビタミンCとたんぱく質を補給。
腰が疲れた、重い、だるい、張るなどの症状をそのままにして生活を続けると、急性・慢性の腰痛を起こすきっかけになってしまいます。腰の不快感を感じたら、その日のうちに適切なケアをすることが大切です。
腰の疲れのほとんどは、肩こりと同じように血行の不良による筋肉のこりが原因ですから、ぎっくり腰のように激しい痛みがある場合を除いては、ぬるめのお風呂で身体をゆっくりと温めることで症状が軽くなっていきます。
長時間お湯につかっているとのぼせやすい方は、お湯を半分ぐらいにするか、湯舟の中に椅子を入れるなどして、腰から下だけを温める半身浴を試してみてください。腰が十分に温まって血行がよくなったら、全身をお湯に浸します。お風呂から出たあとは、早めに布団に入り、立ったりすわったりしていることによってかかっていた圧力から腰を解放してあげましょう。
日頃から、同じ姿勢をとり続けないように心がけたり、血行をよくするビタミンEを積極的に摂取したり、ストレッチ体操や運動で腰の周辺の筋肉をほぐしたり鍛えたりすることも、腰痛予防には欠かせません。
【腰の不快感を治すストレッチ】
1~3の姿勢をそれぞれ30~40秒間保ちます。毎日1回ずつは実行しましょう。
※すでに腰が痛い人は、状態が良くなってから始めてください。
1.背中の下からお尻、太腿、ふくらはぎのストレッチを。足を入れ替えて、両方やりましょう。 | 2.1よりも両脚を広く開き、膝を曲げ腰を落とします。股関節とふくらはぎ、アキレス腱のストレッチです。 | 3.両足をそろえ両膝を軽く曲げ、上体を前に曲げます。背中から、お尻、太腿、ふくらはぎのストレッチです。膝を伸ばしたまま上体を起こすと、腰を傷める恐れがあるので注意しましょう。 |
Type06:全身が疲れた
疲労した大切な臓器を回復させるには、なにより睡眠。
たとえば、徹夜に近い状態で仕事をしてぐったり疲れたとか、激しい肉体労働で体力が極端に消耗したというようなとき、人間は無意識のうちに睡眠を求めるものです。心臓や肺、胃腸などの臓器に活力を甦らせるためにも、十分な休息がなにより必要とされます。
こうした、疲労と回復の繰り返しの短い単位が「昼の活動と夜の睡眠」、長い単位が「ウイークデーと週末の休日」ということになります。これは人間に備わったリズムともいえます。当たり前のようですが、このリズムを乱すことなく生活することが、全身疲労の回復には最も大切なことなのです。
全身疲労の日々が続くと、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが尿中に排泄され、これを補うために骨や筋肉から溶け出したミネラルが血管を狭めるという報告もあります。極度の疲労による過労死の一因は、このへんにもあるようです。
とにかく、ぐったりと疲れたときには、十分な睡眠をとり、ミネラルが豊富な牛乳や緑黄色野菜、体力の低下とともに失われやすいたんぱく質などを十分にとることが大事です。消化のよい料理法なら、申し分ありません。
Type07:肌が疲れた
肌を甦らせるホルモンの分泌に合わせて早寝をする。
寝不足や心身のストレス、偏った食生活などが原因で、肌がカサカサに荒れてしまうことがあります。肌荒れというのは年齢に関係なく起きる一種の老化現象で、肌のに水分を蓄えておく能力が低下した状態のことです。
この状態から抜け出すためには、とにかく睡眠をとることがいちばん。昔から「美人は夜作られる」といわれていますが、これは睡眠中に大量に分泌される成長ホルモンのおかげです。成長ホルモンというと、赤ちゃんや子供だけに必要なものと思っていませんか?実は、表皮の下の真皮ではつねに新しい細胞が作り続けられており、そのときに必要なのが成長ホルモンなのです。
成長ホルモンが大量に分泌される時間帯は、午後10時から午前2時までですから、この時間を睡眠に当てることが、肌荒れ改善には最も有効です。いくら長い時間寝ていても、宵っ張りの朝寝坊では、肌はきれいになりません。10時就寝は早すぎるかもしれませんが、せめて肌荒れの気になるときだけでも、早寝早起きを心がけましょう。
栄養面では、たんぱく質と各種のビタミンの不足に注意しましょう。とくにダイエットをしている方は、この両者ともに不足しがちなので、量はともかく、質のよい食事をとるようにしたいものです。
Type08:目が疲れた
“目のビタミン”の不足を防ぎ、1分でも目をつぶる。
コンピューターやワープロ、それにテレビゲームなど、現代は目を疲れさせるものが氾濫しています。実験によると、コンピューターの画面を見て仕事をしているときは、ふだんに比べてまばたきの回数が極端に減っているとか。まばたきが減ると目が乾き、表面に小さな傷ができて、それが痛みとなって感じられることもあるそうです。
このことからもわかるように、目の疲れを回復させるいちばん簡単な方法は、まばたきをしたり、目をつぶったりすることです。「遠くを見ると目の疲れがとれる」と昔からいわれていますが遠視の方は遠くにピントを合わせることでかえって目の疲れを助長してしまいますので、これは正視の方にのみ通用することだそうです。疲れがひどいときは、濡れたタオルを目の上に当て、しばらく目を休ませましょう。タオルにラベンダーのエッセンシャルオイルを1滴たらすと、鎮静効果がより高まります。目は食事の影響も大きく受けます。
とくに「目のビタミン」ともいわれるビタミンAが不足すると目の粘膜の細胞分裂がスムーズにいかなくなり、ビタミンB1が不足すると視神経が侵さ視神経が犯されて、眼の疲れを起こしやすくなります。